2024/12/28　月例観望会報告

レポート1：うらしま

会場の変更 　当初の観望会の予定は、富士山の西臼塚駐車場でした。しかし、富士山の道路は通行規制があるとのことで、急遽湯河原に変更になりました。この日は北風が強く吹き、時雨雲が流れて来ていました。時々、夏のような発達した雲を見かけました。日没頃に会場到着すると、強めの風が吹いていました。風のためか、体感温度は低かったです。ただし夜間の観望中は風が治まり、体感は夕方より暖かく感じました。でも、気温は-2℃（-5℃との意見も）でした。薄明が終わる頃には雲が無くなり、快晴に近い状態になりました。南西方向に金星が、北西には木星が明るく輝いていました。 　薄明中には、のんちゃんとAmigoさんが到着しました。その後にはD130F5.5さんと、同乗のAKOさんが到着しました。この日の観望メンバーはこのくらいでした。年の瀬ですので、忙しい方が多いのではないかと想像していました。

星空集合写真  Photo by うらしま

屈折望遠鏡での観望 　この時期はメジャーな惑星が見られますので、屈折望遠鏡を持って行きました。Long Perng S800G-AをEM-10に搭載して、まずはファインダー合わせを兼ねて金星を観望しました。シーイングの影響はありましたが、金星は半月状でした。最近話題の地動説を扱うアニメでは、天動説が支配していた中世の時代では金星は満ちるはずが無い天体だったとのこと。金星の満ち欠けだけでちょっと盛り上がれました。金星の左上方には土星があります。地球に対してリングの傾きが小さい時期のため、串刺しの団子の様な面白い形でした。次に見たのが木星でした。上空の強風のためか、シーイングは少し悪かったです。かろうじて縞が見えていた程度でした。夜半頃はシーイングが安定してフェストーンがわかるくらいにシーイングが良くなりました。夜半に近づくと火星が見頃の高度になってきました。極冠と表面の濃淡模様がわずかに見えていました。のんちゃんがミューロン250CRS鏡筒で動画撮影後にスタック処理した火星の画像を準備してくれました。極冠や模様がはっきりと浮かび上がり、眼視での印象に近い内容でした。

うらしま  Photo by ねこにゃん   のんちゃん  Photo by ねこにゃん

屈折望遠鏡を使って見る対象としては、散開星団が見やすいです。いくつかの散開星団を観望しました。面白い対象として、時期が近かったこともあり、クリスマスツリー星団（NGC2264）を見ました。いっかくじゅう座にあるのですが、ふたご座の足下からたどると見つけやすいです。Seestarで星団を撮りましたが、モミの木が4時の方向にひっくり返っています。この近くにハッブルの変光星雲（NGC2261）があるのですが、この時期は少し暗い感じでした。別の面白い対照として、以前からよく見ているET星団とも呼ばれるNGC457を導入しました。2つの明るめの星が目立ち、目が大きいETに似ています。両手を広げているように見えます。目が印象的なので、ふくろう星団やトンボ星団とも呼ばれています。天頂を過ぎたカシオペア座にありますので、比較的見やすい高度の対象でした。冬の散開星団で気になるのが、おおいぬ座の線香花火星団(NGC2362)です。散開星団が明るい恒星を取り囲むように見えます。蛾が街灯に集まるように見えたり、花のように見える（三角形状に星が集まる）人もいます。NGC2362のすぐ上方には、冬のアルビレオと呼ばれれる重星（145番星）があります。二つの星の色が黄色と青と違うので、アルビレオのように綺麗です。

クリスマスツリー星団 (NGC2264) Photo by うらしま ET星団 (NGC457) Photo by うらしま 線香花火星団 (NGC2362) Photo by うらしま

星空写真の撮影 冬の巨大三角形  Photo by うらしま 　屈折望遠鏡での観望の合間に、フルサイズデジタル一眼、コンパクトデジカメ、Seestarを使った撮影も行いました。快晴の星空でしたので、超広角レンズでの撮影に適していました。フルサイズ一眼は15mmレンズ、コンデジでは24mmを使って冬の星座を中心に撮影しました。コンデジでは、星空スナップシーンのモードを使って、人物と星空を同時に写し込みました。まるで合成のような感じの星空背景になりますが、一発撮りです。気になるのは星が点に写りすぎて星座がわかりにくくなることです。そこで、デジタル一眼ではソフトフィルターでディフュージョンをかけて輝星をにじませました。こうすることでシャープさは無くなりますが、星座がわかりやすくなるメリットがあります。冬の星座を15mm超広角レンズで撮影していて、ねこにゃんが気がついたですが、冬の大三角形と相似形の巨大な大三角形がありました。通常はシリウス、ベテルギウス、プロキオンで大三角形を構成しますが、木星、火星、シリウスでさらに大きな大三角形（しかも相似形）を構成します。この時期の偶然の惑星配置によってできた巨大な三角形です。

木星のイオ 　23時過ぎになって気になっていた現象を確認しました。木星のイオが木星の前面を通過します。木星に第1接触する際に、まるで木星にタンコブができたように見えるはずです。23:30頃にはイオがかなり木星に接近していました。分刻みでイオと木星の距離が近づいてくるのがわかりましたので、とてもワクワクできました。23:40には第1接触でタンコブ状態になりました。第2接触になっても、イオが白く輝いてわかりました。動きがある天文現象は楽しめますね。

撤収 　とても良い星空でしたが、夜半過ぎの1時頃には撤収しました。D130F5.5さんとAKOさんは、すでに夜半前に撤収していました。のんちゃんは朝まで観望する様子でした。観望会が開催されたのが5月以来でしたので、ずいぶん久しぶりでした。快晴の星空を楽しめました。

レポート2：AKOさん

今年最後の観望会。出かける際には頭上にいる雪雲から小雨が舞うようにチラホラ降っていましたが天気予報を信じD130F5.5さんのご厚意に便乗させて頂き、途中で夕食を済まし18時前には会場に到着しました。以前からD130F5.5さんがもう少し上の駐車場が気になっているとの事で先ず見に行くことにしました。舗装はされているものの整備的には良くない細い林道を抜けた上の駐車場は車5〜6台と機材が置ける感じでした。暗いことは暗いのですが周りの草木がうっそうと茂っており肝心の空の視界を狭くしていました。チエックを終え通常の観望場所に向かいました。

のんちゃん、うらしまさん、ねこにゃんさん、Amigoさん、Amigoさんのお子さんは既に観望を始めておられるので、早々に持ってきた防寒着を重ね着し観望準備に取り掛かりました。私は高橋P2ZにSKY90を乗せてNikonD780で撮る直焦点とポラリエにNikonD7000魚眼という定番のオールレトロスタイルでの観望。会場は北東から南は関東平野の光害で明るいのですが、当日は北極星はしっかり確認ができ極望合わせが少し早くなったような・・・。自分で決めた今日の課題はバラ星雲。魚眼はインターバルで流星狙い。予報どおり天候は最初は少し雲がありましたが徐々に無くなり風も無いわりには結露も無く良好でした。結果はバラ星雲35枚位と燃える木と馬頭50枚位、すばるは15枚位撮り、そして流星は1枚確認できました。

撮影機材と  Photo by うらしま   バラ星雲 Photo by AKOさん   燃える木・馬頭星雲  Photo by AKOさん   流星 Photo by AKOさん

のんちゃんの望遠鏡を囲んでのウラシマさん十八番の集合写真やねこにゃんさんの望遠鏡で火星と飛行機が並び見かけダブル赤星や木星にイオが掩蔽する前のたんこぶ状態なども観望しながら皆でワイワイ楽しい時間を過ごすことが出来ました。 Amigoさんはお子さんと一緒だったので20時頃、私達は零時頃、ねこにゃんさん達は1時頃、のんちゃんは明け方まで各々満喫したのではと思います。

レポート3：のんちゃん

会場 　当初西臼塚での開催を予定していましたが。現地の道路が冬用タイヤ規制になってしまい、湯河原に場所を変更しての開催となりました。年末の大渋滞を予想していましたが、途中海岸沿いの道が少し混んだだけで、夕方日没後の17時頃に現地に到着。 　現地には既にうらしま・ねこにゃんご夫妻がいらっしゃいました。久しぶりの好天なので、観望を楽しむとにしました。

惑星観望 　この日は、風もほとんどなく、大気もこの時期にしては安定していたので、木星や火星を皆で観望。 　木星は衛星がちょうど木星に掛かる前後で、衛星が木星のこぶの様に見えたり、衛星の影がほくろの様に見えたりと、変化が面白かったです。 　1月12日の最接近を控えた火星も夜遅くに天頂付近まであがってきて、極冠や表面の模様がよく見えました

木星  Photo by のんちゃん 火星 Photo by のんちゃん

写真撮影 　時々雲が出てはいましたが、気温が低く空が澄んでいるわりには大気が安定していたので、皆さん写真撮影も挑戦されていました。ＡＫＯさんはＳＫＹ９０でばら星雲や馬頭星雲、すばるの撮影に挑戦されていました。 　のんちゃんはミューロン250で、ぎょしゃ座のNGC1931（通称ハエ星雲）やかみのけ座のM64（通称黒眼銀河）の撮影に挑戦しました。

NGC1931  Photo by のんちゃん M64 Photo by のんちゃん

Amigoさん親子はお子さんがまだ小学生なので早めに帰宅。　夜半にそのほかのメンバーも12時から1時頃には帰宅されました。 　湯河原にしてはちょっと寒かったですが、久々の好天での観望会。良い年納めになりました。